■ 尾崎の炭焼き小屋2003.11.8

 5年ほど前に寺から400bほど離れた山裾に炭焼き小屋が建ちました。時折煙が立ち上るのを見ては、「あー炭を焼いてるんだな」と思っていました。しかしその場を尋ねたことはありませんでした。今回ここに掲載するために煙の出ている日を見計らって見に行ってきました。寺から歩いて僅か5分ぐらいです。窯主はもちろん檀家さんで池田良治さん68歳の方です。会社を退職されたのを期に、この窯を作ったのです。若い時分にもその経験があったというものの、窯から小屋までほとんど一人で作ったというのですから驚きました。月に一度火を入れ、3日ほど焚いて5日窯を冷ます、それから炭を取り出すということでした。車が入らない所ですから、その炭は米袋に入れて、帰りがけに2袋づつ一輪車で道まで(300bほど)運び、そこからは単車で家に持ち帰ります。あるとき池田さんの家を訪ねて「炭はさばけてるんですか」と尋ねると「いやー在庫が一杯でー」という返事でした。しかし元より炭焼きで一儲けしようと思って始めたわけではなく、「山の掃除をしてやろう」ということがきっかけだそうですから頭が下がります。
 池田さんの若い時分には炭焼きをどこの山でもやっていて、山は大変きれいだったというのです。池田さんはその昔の山を忘れられないのでしょう。事実炭焼き小屋の後ろの山はきれいに下刈りがしてあり、檜の苗木が整然と植えられていました。小屋で話をしている間池田さんは自ら作った炭火にあたって淡々と答えてくれました。

 小屋の中はきちんと片付けられて無駄がなく、入り口には山水も引いてあって、至れり尽くせりの別天地でした。 裏山で木を切って小屋に運び乾燥させる。窯に入るだけの木が用意されたら窯に火を入れる。その時の薪は、炭の材料として適さない雑木を用いる。この作業も農閑期の限られた時期だけ行うわけですから、年に4〜5回の炭焼きとなるそうです。
 でもその工程は実にゆったりとしていて、豊かです。豊かという意味は何の制約もなく時間を費やせるということです。「時は金なり」で、働くことはそれだけ金銭に換算することが昨今の風潮です。そうなったのはそれなりの理由があり、一概にそのことを否定するわけにはいきません。しかし長い人類の歴史をふり返ってみると、現代の忙しさは異常のように思われます。人間は自然の中に生まれ育まれ今日に至りました。そのことに少しでも思いを馳せることが今の世の中で最も豊かなことだと思うのです。
池田さんはそうした意味でとても豊かな、地に足のついた生活をしていると感じました。

ついでながら炭の値段は左記の通りです。

12s入  1500円
送 料 1300円


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