■ 私と般若心経 第3話2014.12.21

波羅密多              

 迷いの世界から悟りの世界に到るための実践修行を「波羅蜜(はらみつ)」と言います。これには六つの項目があります。布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧がそれです。第一項目布施について述べましょう。
布施とは財施と法施の二つに分けて説くのが通例です。財施は信者さんが、佛・法・僧の三宝に財物を施すこと、後者は僧が信者さんのために法を施すことです。しかし実はその他にも多くの布施があります。私自身が生生世世(生まれ変わり死に変わりする自らの命)の中で、両親を始めとして兄弟や知人、師や友人などにどれだけ助けられ、守られて今があることか。今生をふり返っても、意地悪や裏切りという非条理なことに出会い、苦しみ悩んだことがあった。しかしそうしたことも今の私を育んで下さったことに間違いないのです。さらに広げて見渡しますと、厳冬の厳しさや炎天の酷暑、或いは春のうららかさに至まで、自ら与えられた環境の全てが実は布施されていたことになるのです。この事実への深い反省と洞察と理解こそが波羅蜜の根幹なのです。
 次の詩は肺ガンに犯されながら真っ正直に死と向き合った鈴木章子さんが病床にあって書いたものです。布施の心を深く感じ取っています。

おもい

あーあ/思い通りにならなくて/ほんとうに よかった
こんな汚い根性で/思い通りになっていたら/ 
何人 人を殺したやら・・・/何人 敵をつくったやら・・・
今 太陽の下で/おしゃべりに夢中になれるのも/
思い通りにならなかったおかげ・・・

あーあ/思い通りにならなくて/本当に/よかったなあ・・・

癌だって/思い通りにならない人生だもの/
あたりまえ・・・/思い通りにならぬ恩恵/良かったなあ・・・


CGI-design